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1961年9月18日。第2代国連事務総長ダグ·ハマーショルドは、アフリカのコンゴ動乱における停戦調停のため、時の権力者モイーズ·チョンベ大統領に会うべくチャーター機でコンゴの空港を飛ぶ立った。しかし途中、ローデシア(現ザンビア)にて謎の墜落事故を起こし、ハマーショルドと15人の乗員は全員死亡。その後も詳しい調査が行われず、長らく原因不明の事故として扱われていた。この、「冷戦期最大の謎のひとつ」(米ワシントン·ポスト紙)とされてきた未解決事件にデンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ·ブリュガーと調査員のヨーラン·ビョークダールは7年の歳月を費やして調査。当時の関係者たちは皆、口をつぐみ追跡取材は行き詰まりを見せる。しかしついに、彼らはハマーショルドの暗殺事件にとどまらない、世界史をひっくり返すような驚愕の”ある暗殺計画”に遭遇した――。
北朝鮮での撮影に成功した『ザ·レッド·チャペル』(09)で第26回サンダンス映画祭審査員賞を受賞し、その後もアフリカの政治汚職に切り込んだ 『アンバサダー』(11)と、常に潜入捜査で政治的秘密を暴いてきた監督マッツ・ブリュガー。ヨーラン・ビョークダールが長年調査をしているハマーショルド事件に触発され、彼の調査に参加する形で撮影を開始し、これまで以上に渾身の取材ルポをまとめた本作は、世界中の映画祭で高い評価を受けた。2019年の第35回サンダンス映画祭ワールドシネマ·ドキュメンタリー部門で監督賞を受賞。世界78もの映画祭で上映され、9つの受賞を果たした。1本の映画が歴史的な新事実を発表するということは珍しく、それゆえにワシントン·ポスト紙やニューヨーク·タイムズ紙でも評価を得るだけでなく、2019年映画祭での上映時には、日本でも読売新聞ほか、いくつかの新聞で「新証言により長年のハマーショルド事件の謎が解明した」というニュースが取り上げられた。
米ハリウッド·レポーターの年間ベスト映画ランキングでは10位、世界304人の批評家が選ぶ2019年のベストドキュメンタリーでも12位に選ばれ、Hollywoodnews.comが選ぶ2019年ベストドキュメンタリー2位を獲得するなど、小品ながら各地で評価を得ている。
監督はデンマークで長年、ジャーナリストやテレビ司会者、タレント、ラジオ番組ディレクター、作家として多岐に渡り活躍しているドキュメンタリー映画作家マッツ·ブリュガー。
2017年に国連調査委員会の報告書で”ある文書“が発表された。これは単なる墜落事故ではなく、彼の命を狙った暗殺事件であったことを仄めかす資料の存在が明らかに。ブリュガー監督のリサーチを裏付けるものであった。国連職員である父の代からハマーショルド事件を追い続け、それを引き継いだヨーラン·ビョークダールと共に、封印された謎を解明すべく重要人物を追って南アフリカ、コンゴ、ザンビア、イギリス、ロシア、スペインなど、アフリカ、ヨーロッパ各地を旅する。自らを狂言回し的な役割に置き、観客を迷わせつつも真相に迫っていくサスペンスフルでコミカルな独特のリズム。ハマーショルドの飛行機事故を追って世界中でインタビューを敢行し、様々な証言を得ていく。そして、ついにアフリカの秘密組織サイマーの存在を探り当て、CIA、MI6などの関与まで明らかにしていく。アパルトヘイト政策の時代に実際に行われていた悪夢のような事実を暴き出す衝撃のドキュメンタリー映画が完成した。
スウェーデンの貴族出身であり、生涯公務員として身を捧げ、1953年に国連事務総長に選出。反植民地を掲げて積極的に活動し、アフリカの人々が自分たちの国を支配国から取り戻す手助けをし、コンゴの内戦を終わらせようとした。
アフリカの国々は、次々に米国とその同盟国対ソビエト連邦の代理戦争の戦場と化していった。ハマーショルドの存在は、両国にとって、ますます厄介な存在になっていき、1961年9月、謎の飛行機墜落事故により帰らぬ人となるのだが…。
1961年9月、コンゴ動乱の停戦調停のため、当時の国連事務総長ダグ·ハマーショルドはコンゴに向かった。しかし途中、ローデシア(現ザンビア)にてチャーター機は謎の墜落事故を起こし、ハマーショルドを含む乗員すべて死亡。長らく原因不明の事故とされてきたこの未解決事件にデンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ·ブリュガ―と調査員のヨーラン·ビョークダールは挑む。その後、これは単なる墜落事故ではなく、ハマーショルドの命を狙った暗殺事件であったことを仄めかす資料を発見。ブリュガー監督とビョークダールは謎を解明すべくアフリカ、ヨーロッパ各地を旅するが、当時の関係者たちは皆、口をつぐみ追跡取材は行き詰まりを見せる。しかし彼らは調査をすすめるうちに、ハマーショルド暗殺事件の真相だけでなく、想像を絶する驚愕の秘密組織サイマーによる陰謀にぶち当たる。
1972年デンマーク生まれ。作家、監督。今までにいくつかの本を執筆し、雑誌や新聞にも寄稿しているジャーナリストであり、評価の高い深夜番組「The 11th Hour」や、ニュース番組「Deadline」の司会を務めたテレビ司会者である他、ラジオ番組のプロデュースを行い、賞も受賞。さらに、風刺的なTVドキュメンタリー·シリーズ「Danes for Bush」を考案した。長編ドキュメンタリー映画『ザ·レッド·チャペル』(09)で映画監督デビュー。同作にて2010年サンダンス映画祭ワールドシネマ·ドキュメンタリー部門の審査員賞を受賞した。また、2012年サンダンス映画祭出品作品『アンバサダー』(11)は、2014年のトーキョーノーザンライツフェスティバルでも上映され話題を呼んだ。
Filmography
『ザ·レッド·チャペル』(09)
『アンバサダー』(11)
『St. Bernard Syndicate』(18)
『誰がハマーショルドを殺したか』(19)
終わりを知らない愚かな欲望と人種差別の深い闇の恐怖。
唯一の救いは、巨大なミステリーの大海原を突き進みながら、真実を追い求めるジャーナリズム精神の勇敢さだ。
原田龍二
俳優・ミステリーチェイサー
マッツ・ブリュガーが、ジャーナリストであり作家・監督という立場からオチをつけてまとめることに苦心するあたりは、私も同じことを何度となく経験してきたので、激しく同意。
「俺だったらどうする?」と問いかけ、「どうまとめるのか」という目線になっていた。実に面白かった。
丸山ゴンザレス
ジャーナリスト
この気味悪い落差は、何なのだ?
一介の映画監督に解決できるわけがない話が迷走しだす後半、とつじょ頭の中でアラ-トが鳴りだし、武装隊に映画館が包囲されるような、ナマの危険を感じるのは。
荒俣宏
作家
歴史の闇を追うドキュメンタリーだが、同時にスリリングなミステリーで、バディものロードムービーでもある。
謎は謎を呼び、新情報もまた謎を呼ぶ。最後まで引き込まれた!
黒井文太郎
ジャーナリスト
「協力:TBSキャスティング」
史上最強規模の陰謀論!
謎を一つ解くごとにもっと大きい別の謎が浮かび上がる構成、バラバラのピースが予想外の方角からハマっていく展開に興奮。
高野秀行
ノンフィクション作家
国連事務総長の暗殺―。
マッツ・ブリュガー監督の丹念な取材で60年前の衝撃的な事件の謎が次々明らかにされる。
諜報機関、傭兵、多国籍企業などの不気味な集団の影が緊迫感のある演出の末に現れる。
そして犯人を名指しするが、大変説得力がある。観客は、国際政治の闇の深さを知るはずだ。
石井孝明
ジャーナリスト
映画の中に出てくる‟Black is white. White is black.”という発想こそがまさに諜報活動の発想で、一般社会の倫理や法律とは真逆のことをしてもそれがノーマルな諜報活動である。
逆に言うとそれがノーマルであると感じることができない人は諜報部で活動することはできない。
要人暗殺は諜報活動の重要なミッションであり、常套手段は事故に見せかけて殺害することだ。
大野和基
ジャーナリスト